のどの異常
のどの異常のタイプ
のどの異物感、つかえ、締め付け感といったのどの異常のことを、「咽喉頭異常感症」と言います。患者さんははっきりとした違和感を覚えているにも関わらず、内視鏡などでのどを診てもこれといった異変が見つかりにくいのが特徴です。
こうしたのどの異常には、「体の病気が関係しているもの」と「精神的な病気やストレスが関係しているもの」の2つのタイプがあります。
のどの異常の原因となる体の病気の例
- 逆流性食道炎
- 慢性副鼻腔炎
- アレルギー性鼻炎
- 貧血
- 甲状腺疾患
- 慢性咽頭炎
- 慢性扁桃炎
のどの異常の原因となる精神的な病気などの例
- ストレス
- 病気(がん等)に対する恐怖心
- うつ病
- 自律神経失調症
- 不安神経症
のどの異常を引き起こす要素は多岐に渡るため、原因を見極めるには症状の観察や日常生活の振り返りが欠かせません。例えば、飲食した時に違和感が強くなるのであれば体に原因が、ストレスを強く感じると違和感が強くなるのであれば精神的な要因に原因があると推察することが可能です。
のどの異常への対処法
のどの異常の原因が何らかの病気である場合は、その病気に対する治療が必要です。原因が精神的なものであっても、場合によっては抗うつ剤や抗不安薬による治療が必要となるでしょう。
身体に異常がなく、抗うつ剤等の薬も服用する必要がない場合の対処法には、「ストレスを溜めないよう心がける」「のどの違和感に集中しすぎないよう、清涼感のある食べ物や打ち込める趣味などで気を紛らわせる」といったものが考えられます。
しかし、これらの対策には、即効性や効果の持続性はあまり期待できません。不快な症状を根本的に解決するには、漢方薬による治療を行うのもおすすめです。
漢方医療によるのどの異常への対処法
漢方医学では、のどのつかえや異物感といった異常のことを「梅核気」(ばいかくき)や「咽中炙臠」(いんちゅうしゃれん)と呼びます。その原因と考えられているのは、身体の中の見えないエネルギーである「気」の乱れ。気の流れが滞ってのどを塞いでしまうことにより、つまったような違和感が生じると考えられているのです。
梅核気、咽中炙臠の改善は、漢方の得意分野のひとつ。滞った気の流れをスムーズな状態に戻してくれる漢方薬を使うことで、のどの違和感のみならず、ストレスによる気分の落ち込みや不安感なども解消に導いていきます。
のどの異常に使われる漢方薬
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
体力が中等度で、気分がふさぎ、時にめまいや動悸がある人に適しています。のどのつかえや異物感のほか、神経性の胃炎の治療にも用いられる薬です。
柴朴湯(さいぼくとう)
半夏厚朴湯に、胃腸虚弱や疲労感の治療に使われる「小柴胡湯」(しょうさいことう)を合わせた薬です。半夏厚朴湯ではあまり効果が見られない時に使われることがあります。