むくみ
むくみのメカニズム
人間の身体は、その大部分が水分で満たされています。体内の水分が担う役割は、「細胞や血管・リンパ管の間を行き来し、栄養を運んだり老廃物を除去したりする」というものです。
通常、体内の水分は絶えず入れ替わり、一定の割合を保っています。しかし、何らかの原因で水分が体の組織の隙間に溜まってしまうと、その部分が腫れぼったく膨張したようになってしまいます。このように、身体の一部分に水分が多く溜まった現象のことを「むくみ」と言います。
むくみの原因
むくみの原因には、主に次のようなものが考えられます。
- 水分や塩分、アルコールのとりすぎ
- 水分不足
- 立ち仕事・座り仕事
- 睡眠不足
- 体に合わない服や靴の着用
- ホルモンバランスの変化
むくみの原因として特にありがちなのが、塩分のとりすぎや運動不足といった生活習慣の乱れです。
まず、水分や塩分をとりすぎたり、お酒を飲みすぎたりすると、体内の水分量が増えてむくみやすい状態になってしまいます。一方で、摂取した水分が少なすぎる場合も、血行の悪化によってむくみを引き起こすことがあります。
また、立ち仕事や座り仕事で長時間同じ姿勢を続けることによる血流の滞りも、むくみを招く原因のひとつです。そのほか、女性の場合は月経や妊娠、更年期に伴うホルモンバランスの変化により、自律神経が乱れてむくみを生じることも。
病気が原因の可能性も
手足や顔の一時的なむくみは、先述のような生活習慣に起因することがほとんどです。
しかし、甲状腺の疾患やエコノミークラス症候群など、なんらかの病気によってむくみが生じる場合もあるため、安易に判断することはできません。特に、「全身がむくむ」「左右の足のうち、片方だけがむくむ」「むくみが取れないまま何日も続く」といった症状が見られる時は、すみやかに医師の診察を受ける必要があります。
むくみの対処法・予防法
病気が原因ではない一般的なむくみは、生活習慣の工夫によって改善することができます。
塩分やアルコールのとりすぎを控える
塩分やアルコールのとりすぎは、身体にとって百害あって一利なし。濃い味付けの料理の食べ過ぎやお酒の飲みすぎは避け、健康的な食生活を心がけましょう。
適度に体を動かす
ウォーキングなどの運動は、むくみの予防に効果的です。なかなか運動の時間がとれない場合は、ストレッチを取り入れるのもおすすめ。
また、仕事などで長時間同じ姿勢を続けることが多い人は、定期的に「屈伸をする」「つま先やかかとを上げ下げする」といった運動を取り入れ、足の血行を促進しましょう。こうした運動は、むくみだけでなくエコノミークラス症候群や下肢静脈瘤の予防にも役立ちます。
入浴する・マッサージを行う
入浴による血行促進は、むくみ解消に効果的です。できればぬるめのお湯にゆっくりと浸かり、むくみが気になる部分のマッサージを行うと良いでしょう。
漢方薬を取り入れる
むくみやすい体質をより根本的に改善したい時は、漢方薬によるケアを取り入れるのもおすすめです。
漢方薬には、「余分な水の排出を促す」「血行を促進して体を温める」など、むくみの改善に効果的なものがいくつかあります。自分に合った薬を選んで、むくみにくい健やかな体を目指しましょう。
むくみに使われる漢方薬
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
体力が中等度以下で、疲れやすく、汗をかきがちで、太り気味の人に適しています。胃腸の機能を高めるとともに水分の巡りを改善し、余分な水分の排出を促す薬です。
療方調流(りょうほうちょうりゅう)
尿の量が少なく、のどが渇く人のむくみに適した薬です。体力に関わらず使用することができます。
玄武温陽(げんぶおんよう)
体力がなく、疲労や冷えがある人に適しています。水分の巡りを良くするとともに、体を温めて活力をもたらします。