頻尿
頻尿の症状
排尿の回数が多い、トイレの間隔が近いといった症状のことを「頻尿」といいます。
日本泌尿器科学会では、頻尿の目安を「起床から就寝までの排尿回数が8回以上であること」としています。しかし、排尿のペースには個人差があるため、「7回だから問題ない」「9回だから異常」と決めつけることはできません。
重要なのは、回数よりも患者さん自身が苦痛に感じているかどうか。起床~就寝までの排尿回数が8回を下回る場合でも、「以前より明らかにトイレが近くなった」と感じる場合は、何らかの対処を検討したほうがよいと言えます。
頻尿の原因
頻尿の原因には、おもに次のようなものが考えられます。
- 水分のとりすぎ
- 身体の冷え
- 加齢
- 膀胱の過活動(過活動膀胱)
- 尿路感染・炎症
- 膀胱や子宮の腫瘍、結石など
これらの原因のうち、「水分のとりすぎ」や「体の冷え」については、生活習慣を工夫することで防ぐことが可能です。特に、ビールやコーヒーといった飲み物には利尿作用があるため、あまり飲みすぎないよう注意しましょう。
一方、過活動膀胱や感染症などの疾患が原因である場合は、膀胱の容量を増やして排尿の間隔を延ばすための訓練や、服薬による治療が必要になることも。「排尿に痛みを伴う」「頻尿が続き、睡眠や日常生活に支障を来している」といった場合は、早めに専門家の診察を受けましょう。
漢方医療から見た頻尿の考え方
漢方医学では、「気・血・水」という3つの要素のバランスによって健康が成り立っていると考えます。そして、この3つの要素のうち、血液以外の身体の水分である「水」に何らかの異常が生じると、頻尿や尿漏れといった排尿のトラブルに繋がるのです。
さらに、「水」の異常が起きる背景には、身体の中で「水」の調節を司る「腎」の不調があると考えます。治療では、漢方薬によって「腎」の機能回復を助け、「水」を正常な状態に戻すことで、頻尿などの改善を目指していきます。
頻尿の治療に用いる西洋薬の中には、「副作用が出やすい」「特定の持病がある人には使用できない」といった弱点があるものも。漢方薬による治療は、このような投与に制限のある西洋薬に代わる治療方法の一つとしても役立てられています。
頻尿に使われる漢方薬
八味地黄丸(はちみじおうがん)
体力が中等度以下で、手足が冷えやすく疲れやすい人に適しています。頻尿のほか、むくみや軽い尿漏れ、腰痛などの改善にも用いられる薬です。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
体力が中等度以下で、手足の冷えや疲れやすさがあり、むくみや足腰の重だるさを感じる人に用いられます。
猪苓湯(ちょれいとう)
頻尿のほか、残尿感や排尿痛の改善に使われる薬です。体力の程度に関わらず使用することができます。