漢方は足がつる症状にも効果あり
ここでは、足がつる症状に対する漢方の効能についてご紹介していきます。
なぜあなたの足はつるのか?
「足がつる」と一口に言っても、その原因は様々。
まずは足がつる原因について知っておきましょう。
【症状】
- 筋肉が痙攣(けいれん)を起こし、激しい痛みを伴う
- 夜中~明け方の眠っている間、運動中や運動後に起こりやすい
【原因】
<筋肉の疲労>
激しい運動のあとは足が緊張状態となり、痙攣が起きやすい状態となります。また、突然動く、普段運動をしていない人が運動をするといったことも、痙攣を引き起こしやすいです。
<ミネラルバランスの乱れ>
ミネラルには筋肉の動きを調整する働きがあるため、ミネラルが減少することで足がつりやすくなります。
<冷え・血行不良>
血流が悪くなり足が冷えると、筋肉が緊張状態となり痙攣が起きやすい状態となります。
また、ミネラルなどの栄養が筋肉に届きにくくなることも影響します。
<加齢>
筋肉や血管は、加齢によって衰えるもの。その衰えによって筋肉が疲れやすくなる、血管が硬くなり血行が悪くなるといった、足がつりやすい状態になってしまうのです。
足がつる原因については、まだはっきりと解明されていませんが、おおむね上記のようなことが原因であると考えられています。
また、健康状態に問題のない人でも起こる症状ではありますが、病気が原因となっていることも。
糖尿病・椎間板ヘルニア・脳梗塞・腎疾患などがそれにあたり、足がつる以外にも気になる症状が出ている場合は、一度医療機関で診察してもらった方がいいでしょう。
- 糖尿病・・・手足のしびれ、異常なのどの渇き
- 椎間板ヘルニア・・・腰痛、脚のしびれ、脚の痛み
- 脳梗塞・・・言葉のもつれ、片手・足のしびれ
- 腎疾患・・・脚のむくみ、赤褐色の尿が出る
足のつりの予防法
足がつると激しい痛みを伴うため、治まるまではかなり辛いですよね。
そんな辛い足のつりを予防するための方法を、いくつか紹介します。
【ストレッチを習慣化する】
運動の前に十分なストレッチを行うほか、運動をしない日でも取り入れることをおすすめします。ストレッチをすることで筋肉の柔軟さを保つことができますので、足のつりのいい予防になるでしょう。
普段運動をしないという方でも、ストレッチなら負担が少ないので続けやすいはずです。
【十分なミネラルを補給する】
食生活を見直して、ミネラルが足りていないと感じるなら、ミネラルを豊富に含む食品を増やすようにしましょう。
また、運動時には汗でミネラルが流れてしまうので、スポーツドリンクなどで補給することも効果的です。
【冷えを取る】
足が冷たくなってしまっているときには、血行をよくして冷えを取ってあげます。
自宅で簡単にできる血行改善方法としては、足湯があります。足首までお湯に浸けるだけでも大丈夫ですが、お湯→水→お湯→水というように、温冷を繰り返すとさらに効果的。
寝る前に実践すれば、夜間~明け方に起こる足のつりの予防になるうえに、寝付きもよくなります。
足がつりやすいという方は、これらの予防法を試してみてください。
それでも足がつってしまう、足のつりの痛みから早く解放されたいというときには、漢方の力を頼ってみましょう。
足がつる人におすすめの漢方薬
足がつる人におすすめの漢方薬は、「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」です。
参考:平成23年 8月9日発行独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「芍薬甘草湯(一般用)の「使用上の注意」の改訂について 」
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)って何?
芍薬甘草湯とは、「芍薬」と「甘草」の2つの生薬を合わせた漢方薬です。
【芍薬(しゃくやく)】
芍薬は中国などに自生する、ボタン科の花のことです。
この根を乾燥させて煎じたものが生薬となります。
<作用>
痛みを鎮める、痙攣を抑える、炎症を抑える、冷えを取る
など
【甘草(かんぞう)】
中国や北アメリカで自生するマメ科の植物です。
名前の通り、独特の甘味があるのが特徴。「リコリス」という名で呼ばれることも。
芍薬と同様、根を乾燥させたものが生薬となります。
<作用>
肝機能の向上、筋肉のこわばりの緩和、炎症を抑える
など
【芍薬甘草湯の効果】
古くから痛み止めの薬として使われてきたのが、芍薬甘草湯です。
足のつりにはもちろんのこと、様々な痛みを鎮めてくれる作用があります。
<作用>
筋肉の痙攣を伴う筋肉痛、胃腸の痛み、腰痛・肩こりなど
痛みに幅広く効くというのが、芍薬甘草湯の特徴。また、芍薬甘草湯は飲み続けて徐々に症状を緩和するというものではなく、足のつりが発生したときに飲んで症状を和らげます。
継続して飲むことでゆっくり効果を発揮するイメージの漢方ですが、芍薬甘草湯に関しては、即効性が期待できるタイプと言えるでしょう。
漢方Q&A~芍薬甘草湯に関する疑問~
Q:いつ飲むのがいいのですか?
A:足がつりそうなとき、またはつったときに飲むのがいいです。
芍薬甘草湯に含まれる甘草は、長期的な摂取や大量摂取によって、むくみや血圧の上昇といった症状を引き起こすことがあります。医師からの指示や指導がない限りは、足がつりそうなときやつったときのみ、飲むようにしましょう。
Q:寝る前に飲めば、夜間~明け方の足のつりを予防できますか?
A:筋肉の痙攣や痛みに対して作用するものなので、予防としての効果は期待できません。
足がつりそうな前兆があるなら事前に服用しておくのもいいですが、予防のために毎日飲み続ける必要はありません。
Q:足のつり以外に芍薬甘草湯が効果的な症状はありますか?
A:急な腰痛(ぎっくり腰)や腹痛、生理痛など幅広い痛みに対して効果が期待できます。
足のつりと同様に、痛みが起こったときに服用してください。
Q:誰でも飲めますか?
A:いいえ。アルドステロン症を患っている方、筋肉障害(ミオパシー)のある方、低カリウム血症の方は症状が悪化する恐れがあります。
また、心臓病・高血圧症である方も注意が必要です。記載した以外にも持病のある方、市販薬も含めて服用中の薬がある方も必ず医師に相談しましょう。